曲名 | 構成・作詞者 | 作曲・編曲・指揮 | 歌賞者 |
横井弘 | 小川寛興 | 倍賞千恵子 | |
"あし音 −失意" ボレロ(ト単調) |
恋人の去って行く足音。それは恋愛が去って行く足音でもあります。偽りの愛であった、とあきらめようとしながらも、抑えきれない悲しさをうたいました。 | 冷たくなって去って行く男の足音。空虚とたかぶりの交差する心を、ボレロのリズムによって表現し、ビオラ、セロのユニゾンによる前奏は、打ちひしがれた失意の女のテーマとしました。(後略) | 失恋の唄なので、いつもなら悲しみをそのまま歌い上げてしまうのですが、この曲は逆に心の奥底に秘めた悲しさをしみじみと訴えるよう静かに歌ってみました。 |
"なぜかしら −芽生え" トロット(変ロ長調) |
はじめて好ましい人にめぐり逢った女性が、そのために心の変化、生活の変化を感じ、はじらいながらも喜びにひたっている状態をとらえました。 | 乙女のやさしさと清潔さに重点を置き、旋律もなるべく跳躍を避け、音階的に作曲しました。 | 乙女の淡い恋。初恋の思い出をなつかしむように、きれいにまとめました |
"私にできること −献身" ワルツ(変ロ長調) |
誠意をつくして愛したい、そして愛されたい、恋人の生活に同化したいと願う女性特有の心理描写です。 | この組曲中の唯一の甘美な曲にするため、ワルツにし、楽器構成もストリング・セクションを充分生かすような編曲プランをねり、第二曲目の"芽生え"とは反対に旋律を跳躍させるようにしました。(後略) | 前半の慕情を甘く、単調に転調するところは、誠意をみせるように、後半を又慕情で静かに甘く歌ってみました。 |
"もしも −怖れ" タンゴ(ハ単調) |
独占欲が強くなればなるほど、それを失うことへの不安も大きくなるものです。相手の愛情に疑問を感じ、些細なことにも傷つきやすくなった心を描きました。 | 疑惑と不安の波紋が、強く弱く広がってゆく。この心理を強調するのなら、タンゴが最適ではなかろうかと考え、作曲しました。歌い出しは強い不安を描くため、スフォルザントにし、なお印象づけるため(・にしました。展開部の四個の最終音「どことないかたさが」は f のリタルダントとし、感情を高める効果を狙い、歌の最終部「もしも」を p にしてこの曲をまとめました。 | 歌い出しのところで、不安を強調するために強くリタルダンドして歌い、最後の「もしも」では小さく、その不安を打ち消そうとする女ごころを表現出来ればと余韻のようにしてみました。 |
"悲しみよありがとう −賛歌" ロック(変イ長調) |
恋愛は破れました。しかし、絶望に溺れていてよいはずはありません。一時的に愛を見失っても、愛を否定することもなく、一刻も早く失意から立ちなおって欲しい。そうした希いを、女性自身の内側から生まれた言葉として結びました。 | この曲は終曲なので全体のまとめとするため、歌にスケールが欲しいのでいろいろと考えましたが、イタリアンロックのカンツォーネ風を採用しました。旋律もその意味で跳躍を随所に使わず、効果のあると思われる箇所のみにしました。 | 失われた恋を人生の糧として、希望を持って強く生きるように、のびのびと力強く歌い上げてみました。 |