第一面 |
四季の歌 |
伝書鳩の荒木とよひさが46年に入院中に作った曲。翌年レコード2社から発売されたが不発。51年になってニッポン放送の「あおぞらワイド」という番組に一主婦がリクエストしたことから評判になった。芹洋子盤(キング)をはじめ、各社からレコードが競作となって出てヒットした。
倍賞と芹は声質、ムードとも同タイプだけに、歌の出来も味わいも実によく似た感じがする。 |
ふれあい |
山川啓介作詞、いずみ たく作曲による中村雅俊の代表曲。彼が主演した日本テレビ「われら青春」の挿入歌だったが、"人間性回復"が叫ばれるように世情にあって、49年のレコード界をリードする大ヒットとなり、中村雅俊はこの一作で歌手としての地位を確立した。倍賞はお手本通りの歌唱ぶりで、セミ・クラシック的な雰囲気に仕立てている。 |
神田川 |
48年に喜多條忠作詞、南こうせつ作曲によって作られたかぐや姫の代表作であり、フォークの名作である。♪小さな石鹸カタカタ鳴った・・・というフレーズは現代の若者の生活感と風俗性を見事に表現していて、今だにそのみずみずしさは失われていない。「下町の太陽」の倍賞と、「神田川」の取り合わせ。なかなか味のあるコンビネーションで、このLPのハイライトといえよう。 |
白い一日 |
49年に小椋佳が発表した代表作。詩はもちろん小椋だが、曲は珍しく井上陽水である。ちなみに、陽水の歌にも小椋の作詞によるものが少なくない。小椋といえば「シクラメンのかほり」があまりにも有名になったが、この「白い一日」はより小椋らしい深みのある作品である。倍賞の歌い方は"小椋佳に挑む" といった気負いはなく、むしろ淡々と聴かせる。 |
さよならをするために |
47年にビリー・バンバンが歌ってヒットした作品。地味ながら長期にわたって売れたミリオン・セラーである。日本テレビ系「三丁目四番地」の主題歌で、作曲・坂田晃一、作詞は俳優の石坂浩二である。このころからテレビ・ドラマの主題歌、挿入歌がヒットするようになった。倍賞はショーのフィナーレを思わせるような、情感をこめた歌唱で歌い上げた。 |
水中花 |
新しい演歌の確立を狙って作曲家井上忠夫が発表したワンマン・レコード(LP)の「水中花/井上忠夫ファースト・アルバム」に収めた曲で、シングル版としても発売した。作詞は阿久悠。現代人のさみしさをナウな感覚で表現した作品である。サビの高音の部分で、倍賞の伸びのあるボーカルが出色の出来である。 |
第二面 |
白いブランコ |
51年夏に解散した兄弟デュオ、ビリー・バンバンのデビュー・ヒット作品(44年)。作曲は弟の菅原進で作詞は小平なほみ。リリカルで清潔な曲調は、当時数多く台頭してきたフォークの作品群の中でも、ひときわ光る存在だった。
兄弟ならではの息の合ったビリー・バンバンのハーモニーに対し、倍賞は自らの声をかぶせて、見事なデュエットを作り出している。 |
春うらら |
シンガー・ソング・ライターの田山雅充のデビュー作。うららかな季節を背景に、いかにも自由奔放で新鮮さあふれる曲調が若い音楽ファンの心をとらえた。田山の歌唱はかなり激情的だが、倍賞の方は持ち前のソフトなメゾ・ソプラノで軽快な歌い方。例の♪アウ・・・・・・というくだりも、彼女なりの工夫が見られる。 |
少しは私に愛をください |
46年に小椋佳が作詞・作曲し、創唱した曲。東宝映画「始めての愛」の挿入歌としても使われている。小椋の作品としては最も甘いタッチの部類に入る作品といえよう。のちにスザーナも歌ってヒットさせており、また、トップ歌手のリサイタルでもよく歌われている。解釈の仕方でどのようにも歌える歌だが、倍賞によるこの歌は"夢"といったものを感じさせる。 |
岬めぐり |
かって「走れコータロー」で大ヒットしたソルティ・シュガーの山本コータローを中心に結成されたウィーク・エンドのデビュー・ヒット作(49年、作詞山上路夫、作曲山本厚太郎)。アコースティックな魅力の中に、いかにも現代フォークの切れ味を持った曲である。そんな曲調の上に、バランスのいい倍賞の声がほどよく乗っている。 |
浜でギターをひいてたら |
忘れな草をあなたに」や「下町の太陽」などの作曲で知られる江口浩次氏の作詞・作曲。藤野ひろ子という当時の新人が歌い、第一回古賀賞(作曲コンクール)にも入賞した。第一期歌謡フォーク全盛期の佳作で、藤野は長期療養のため第一線を退いている形だが、今だにラジオなどのリクエスト曲として登場している。ナイーブな少女の情感を倍賞がうまくポイントをつかんで歌っている。 |
恋文 |
48年、作詞・吉田旺、作曲・佐藤勝、歌・由紀さおり、明治の女性を思わせるような日本女性の奥ゆかしさがくっきりと浮び上る。格調のある歌謡曲として評判を呼んだ作品である。由紀さおりはこの歌でこの年の日本レコード大賞最優秀歌唱賞を受賞している。倍賞もしっかりと歌い上げ、由紀と甲乙つけがたい出来ばえである。 |